ドキュメント開発

取材のコツ

取材と一口に言っても取材の目的は何か、取材のアウトプットをどのような媒体に、どのように利用するのか、さらに期待する効果は何かなどさまざまです。
例えば、
  取材対象者は、企業/団体、行政機関、お店(小売り店舗)、個人なのか?
  目的・用途は、広告宣伝物、広報書類、紹介記事、調査レポート、資料素材なのか?
  発信媒体は、一般誌、書籍、パンフレット、社内報、行政刊行物、業界紙、Webサイトなのか?
などによって対応は異なります。
取材に取り組む状況が異なっても流れと進め方は次のようになります。

  • 打ち合わせ
  • 事前調査
  • 取材準備
  • 取材・インタビュー
  • 執筆
ここでは、お店の紹介や企業の案内を中心に、取材の際に押さえておく項目を説明します。
また、電話のみによる取材の留意点についても記してあります。
なお、執筆の項目については「執筆のコツ」を参照してください。
打ち合わせ

取材の依頼は、出版社、広告代理店、編集プロダクション、マーケティング会社、または行政関連の担当者から受けるケースがあります。
ただし、担当者は取材対象者との間に入っているだけで、何のための取材かを十分把握していない場合があります。
したがって、打ち合わせにより次の項目をできる範囲で明確にします。

  • 目的と用途
  • 取材対象者のポジション
  • 取材時間
  • 取材同行者(カメラマンやディレクター)の有無
  • 発信媒体
  • 発信媒体の占有ページ数、文字数、関連写真(グラフィック)の有無
  • 他の記事との関係性(他に関連記事がある場合)
  • 作業範囲と納品形態
最も大切なのは、取材の目的と用途を明らかにすることです。目的や用途によって、この後の取材準備やインタビューの観点が異なるからです。
また、後々の実作業でトラブルにならないために作業範囲と納品形態を確認することも重要です。
例えば、取材するお店の紹介記事を一般誌(情報誌やムック本)に掲載するような場合、作業範囲は執筆までなのか、取材先に対する初校や再校確認までなのか、つまり校了までなのかを確認します。 担当者は自社の慣習が当たり前だと思っている場合があるので注意しましょう。
調査レポートの取材の場合、テキスト、数値データ、画像(写真)が混在するときのまとめ方を確認します。 各要素ごとの素材を提供するのか、レイアウトした状態にするのか、レイアウトする際は使用するアプリやレイアウト仕様を確認しておきます。担当者がプレゼンするのでPowerPointにまとめて欲しいと、後から修正を要求されることもあるので事前確認は必須です。
事前調査

お店や企業のホームページから、一通りの企業情報を収集します。 できればインターネットで業界事情や口コミ情報などにも目を通しておきます。
お店の場合は、主な商品・サービス、特徴・仕様、価格、店舗・設備の特徴、客層などを、企業の場合は理念、沿革、歴史、事業領域、主力事業・製品、年商、従業員数などを調べておきます。 また、社長メッセージが掲載されているときは、創業時の思いや経営方針も把握しておきます。
全体情報が把握できたら、基本データとしてまとめます。
収集した情報を整理してまとめることで、お店や企業の客観的なアウトラインが分かります。基本データを取材目的・用途と照らし合わせることで不足している情報、分からないこと、気にかかることが見えてきます。さらに質問や確認したいことを箇条書きにして質問シートを作成しておきます。
基本データや質問シートを整理することは、取材のスムーズな進行や時間管理の手助けになります。

取材準備

取材に臨むにあたって、次のものを準備します。

  • 基本データ・質問シート
  • 原稿のたたき台
  • メモとペン
  • デジカメ
  • ICレコーダー(あれば)
■原稿のたたき台
記事の目的・用途が明確で、文字数が割合少なく設定されている場合は、あらかじめ原稿のたたき台を準備しておくと便利です。
例えば、グルメ情報誌に掲載する飲食店の紹介記事を100~200文字程度に仕上げるような取材の場合、基本データをベースにして原稿のたたき台を作っておきます。
1日に複数軒を取材で回るようなときには有効です。

■デジカメ
カメラマンが同行する場合でも、デジカメを持参して撮影しておくと役に立ちます。
デジカメがなければカメラ機能が付いている携帯電話やスマホでかまいません。
後で、執筆する際に自分で撮影した写真を見ると、その時の会話の内容やキーワードを視覚から思い出すことができます。

■ICレコーダー
取材はメモを取るのが基本ですが、メモが追い付かない場合や数値・固有名詞の聞き間違い・書き間違いを防止する上でICレコーダーがあると安心です。
取材相手が言い違いをする場合もあるので、再確認する際にも有益なツールとなります。
取材・インタビュー

取材相手に会うときのTPOは重要です。当たり前のことですが服装や髪型は小ざっぱりした恰好で臨みます。 取材はビジネスなので基本はスーツまたはジャケット着用の方が相手に対して失礼がありません。

■取材開始時

相手との挨拶が終わり取材の開始時に、まず次のことを伝えて確認してもらいます。

  • 取材の目的
  • 取材の概要
  • 取材したいポイント
  • 取材時間
  • 撮影の許可
  • 録音の許可
取材相手がピンチヒッターで何も聞かされていない場合は、何のための取材かを丁寧に説明して理解してもらいます。

■取材の進め方
取材はなるべくリラックスした雰囲気で開始し、質問シートに沿って進めていきます。
質問に対して相手が話すときは一通り話を聞くことに徹し、話の腰を折らないように努めます。 ただし、話の内容や深さが主旨と異なる方向へ入り込むこともあります。 話が長く方向を修正したいときは「ところで」「話を元に戻しますが」「先ほど仰った〇〇〇の件ですが」というように話題を転換して、意図する方向へ話の流れを修正します。

■質問について
質問内容は、相手が答えやすいように具体的かつ短い言葉で聞きます。
お店と企業では若干異なりますが以下のように提示して、〇〇〇について教えてください、という姿勢で聞くようにします。
  • 商品のアピールポイント
  • 商品の特徴やメリット
  • お客様に喜んで欲しいこと
  • 商品の開発経緯、その時に苦労したこと
  • 他店と異なること
  • 企業として大切にしているもの
  • 他社のとの差別化ポイント
  • 力を入れている領域・事業、目標数値
  • 取り組んでいる課題、解決策、実現方法
回答される内容には、企業の建前と経営者としての私的想いがフォーマル/インフォーマルに入り混じって返って来ることもあるので注意深く汲み取るように心がけます。

■メモの取り方
取材中にメモを取ることは必要ですが、メモすることに集中すると相手の顔や表情を見失うことがあります。
対面取材では相手の態度や表情は最も大きなコミュニケーション影響要素なので、言葉を聴くだけでなく表情も見るようにします。 相手の率直な想いを伺い知るためには、なるべく目を見て話を聞くことが大事です。 そのためにメモの取り方はフレーズやキーワードを記述し、事象の関連性を線でつないだり自分の分かる略語や記号を付記するなどの工夫を施して記録します。
また、相手から聞いた事実と自分の思ったこと・感じたことは区別してメモします。

■写真撮影
写真を撮影しておくと、後で執筆のするときの手がかりにもなるので、できるだけ撮影します。
撮影するタイミングは取材の途中で適時に撮影する、最後にまとめて撮影するなど、取材の雰囲気や流れに合わせてケースバイケースに対応します。
お店の紹介の場合、写真は重要な要素なので次の被写体は必ず撮影しておきます。
  • お店の外観
  • 店内の様子・施設
  • 店長やスタッフ
  • 商品やメニュー
企業取材の場合も建物概観、社名看板、各施設、オフィスの室内風景、従業員の表情などの撮影をします。

■取材の最後に
話を一通り聞き終えたら、取材内容を要約してあらためて確認します。
自分の認識が正しいか不安な箇所、聞き漏らした箇所、再確認しておきたい箇所は放置せずに必ず聞いておきます。
重要となるトピックやエピソードとなる内容に関しては、このように表現しても大丈夫ですか、とその場で了解を得ておきます。
最後に、これだけはアピールしたい点や言い残したことがないか等を確認した上で取材を終了します。
電話取材の留意点

情報誌やムック本では、グルメ、タウン情報、旅行、温泉、アミューズメント施設などをテーマにして特集掲載する場合があります。 より多くのお店や施設を掲載するので手っ取り早く電話のみによる取材で記事を作成し、写真も借用するケースがあります。
一般のお店に初めて電話をかけると、話が進みにくい場合があります。 特に地方のお店に電話をすると疑念を持たれることがあります。
このような場合に備えてペラ1枚程度の企画書を準備しておき、電話では主旨だけを伝え企画書をFAXまたはメールで送付した上で取材に取り組みます(電話取材の場合ペラの企画書準備は必須)。
公共施設や公園等の場合は、管轄する管理事務所に電話をかけて取材することになります。
通常、管理事務所には広報担当がいて取材は行いやすいのですが、担当者がいない場合や写真の有無がはっきりしないときがあります。
このような場合は、行政機関(市役所や観光協会等)に相談するとよいでしょう。 企画の主旨を理解してもらい、その地域にメリットになる取材依頼であれば対応してくれます。
ほとんどの市役所や観光協会はホームページを開設しており、地域の産物・観光地・施設等の写真を閲覧できます。写真借用を依頼すると解像度の高い画像も提供してもらえます。